深入経蔵
当敷地にある記事は多くの善知識の方々や三蔵・宝典・良書に拠っています。
書物については記事中に逐一引用の参照を記入するのは繰り返しになり煩雑なので、ここに一括して掲げ深く感謝の意を捧げますm(__)m。入手し易いものもあるので、興味のある方は探してみて下さい。
書名の前の記号は、仏教に関心のある一般の方への私的おすすめ度を表しています。
◎…読みやすく分かりやすい。まずはこれがおすすめ。
○…それなりに読みやすいが、やや難解。入門者から次の段階に。
△…難解だが、仏教への理解を深めるには有益。
□…あまり一般の人向けではない専門書・研究書。
辞書類
- ◎『岩波仏教辞典』中村元・福永光司・田村芳朗・今野達 編 岩波出版 5800円
使い易い佛教辞典です。佛教全般に渡り項目を拾い、最近の研究成果も採りいれた入門者から薦められる現代の定番仏教辞典。
- ○『[新版]仏教学辞典』多屋頼俊・横超慧日・船橋一哉 編 法藏館 5600円
こちらは固有名詞を省き、普通名詞に属する事項を詳細に解説したもの。中級者以上向き。
- △『織田佛教大辭典 補訂縮刷版』織田得能 著 大藏出版 価格は忘れました
「序」にはこの辭典が成るまでの経緯が語られ、こちらも大変興味深い。
「おだぶつ」の略称で親しまれ、現在も信頼在る辞書。旧漢字使用の上活字が小さく、上級者向き。
- △『望月佛教大辭典 増訂版』全10巻 望月信亨 著 世界聖典刊行協会 高いです(^^)
佛ヘ研究者にはお馴染みの辞典です。収載項目数・詳細な解説等、まさに宝典と呼ぶに相応しい辞典です。わたしもよく「苦しいときの望月頼み」でお世話になってます(苦笑)。
県立級の図書館ならば置いてあると思います。
- △『仏書解説大辞典 縮刷版』全1巻 小野玄妙・丸山孝雄 編 大東出版社 3万2000円
経典を始め仏教に関する日本や中国の論疏・漢訳書などの書目を編集しその一々に内容・解説を施している貴重な労作です。日中のほとんどの仏教典籍についてはこの辞典を引けばその概要を知ることができます。縮刷版は正巻11巻・増補2巻の計13巻を圧縮し本文の活字が小さいので拡大ルーペがついています。
- △『仏教辞典』宇井伯壽 監修 大東出版社 4120円
碩学・宇井伯壽文学博士が監修し1938年に刊行され、現在も特に天台教学を学ぶ者にとって信頼の高い辞書。簡潔にして要を得た語釈の数々は素晴らしいの一語です。前に挙げた『岩波仏教辞書』にも影響を与えています。
- ○『インド仏教人名辞典』三枝充悳(さいぐさ みつよし) 編 法蔵館 6180円
インドおよび中国において「西域」と呼ばれた地方に出生・活躍した初期仏教・部派仏教および大乗仏教者の主な人々を網羅した大変便利な辞典です。
- ○『東洋仏教人名辞典』斎藤昭俊・李載昌 編 新人物往来社 8800円
こちらはインド・中国・チベット・モンゴル・朝鮮の主な仏教者を合わせて1000人近く収載した辞典です。特にチベット・モンゴル・朝鮮地域の仏教者を辞典の形でまとめたものはこれが初めてのようです。
研究書・解説書
- ◎『人物叢書新装版 最澄』田村晃祐 著 吉川弘文館 1860円
日本史の人物について、それぞれの専門学者が執筆を担当して日本歴史学会が編集し吉川弘文館が刊行した伝記集のなかの一冊です。一定の研究成果を元にした傳教大師の生涯とその思想を知るうえで格好の良書です。人物叢書には他にも日本仏教の先達方が採り上げられています。
- ○『中公バックス日本の名著3 最澄/空海』福永光司 責任編集 中央公論社 1500円
様々な分野の古典の名著を専門学者が現代語訳し現代人に読み易く伝えようという叢書。始めに収載文献の解題を兼ねた詳細な解説がありありがたい。また末尾にはこれまた詳細な補注と年譜がある。漢文が苦手な方も大丈夫。わたしもそうですが(^^ゞ。
こちらもその他日本仏教の先達方の著作について採り上げられています。
- △『決定版 中村元選集』全32巻 別巻8巻 中村元(なかむらはじめ) 著 春秋社 各巻数千円
日本のインド・東洋思想研究の巨人である故中村元の研究の集大成です。傾向としては「広く浅く」仏教を始めとしてインド・東洋思想を網羅し一般の読者にも「割りと」分かりやすく論じています。現代人に分かりやすい言葉で古哲の思想を伝えようとされたそのご活動は、現代の全仏教者への課題でもありましょう。
- ○『中国仏教史』全8巻 鎌田茂雄 著 東京大学出版会 各巻1万数千円
中国仏教史について調べるのに何よりの叢書です。惜しむらくは先日鎌田氏がお亡くなりになり、7・8巻は未刊のままです。さらに1〜4巻は品切れ中(T_T)。東大出版会さん、速やかに善処願います。
- △『法華経入門』 菅野博史 著 岩波新書 740円
天台宗が拠り所とする教えを説く経典『妙法蓮華経(法華経)』についての新しい解説書です。法華経本文のあらすじ・構成やその成立、インド・中国・日本における研究の歴史、その中心思想について、などなど一冊で法華経についての概要を知ることの出来る好著です。ただ一般の方がいきなり読み通そうとすると熱がでるかもしれませんので>^_^<、じっくり読んでください。
- △『日本思想体系9 天台本覚論』 多田厚隆・大久保良順・田村芳朗・浅井円道校注 岩波書店 1600円
天台本覚思想についての論疏に校注を加え編集したものです。『岩波仏教辞典』によれば「本覚」とは「本来の覚性」ということで、一切の衆生(生きとし生けるもの)に本来的に具有されているさとり(覚)の智慧を意味します。本覚思想についてここではこれ以上ふれませんが、興味のある方はぜひ当該書や各種辞典の解説をご参照ください。なおわたしが入手したものは古書店で売られていた30年近く前の初版本で現在も入手可かどうかは分かりませんので、大きな図書館をあたるのが確実かもしれません。
原典
- □『傳教大師全集』全5巻 世界聖典刊行協会 各9000円
嘗て比叡山専修院(現在の叡山学院)が編集したものの復刻版です。傳教大師・最澄の著作やお言葉が網羅されています。宗門人・研究者向け。
ゴータマ・ブッダ(お釈迦様)の生涯について
- ◎『図説 ブッダ』 安田治樹編・大村次郷写真 河出書房新社 1800円
写真を豊富に載せ現代に残る仏教史跡・美術等を見ながらブッダの生涯を辿り、その教えを分かりやすく知ることが出来る入門書です。インドなどに14回も訪れて撮影を行った大村氏の「インド仏教写真集」ともいえる綺麗な写真の数々が素晴らしい。
- ◎『ブッダ 大いなる旅路』全3巻 高崎直道監修 NHK出版 各2000円
(1)輪廻する大地 仏教誕生
(2)篤き信仰の風景 南伝仏教
(3)救いの思想 大乗仏教
曾てNHKスペシャルで放映された番組を書籍化し、詳しい解説を盛り込んだものです。仏教の誕生からアジア各地への伝播、現代の仏教を取り巻く状況までを扱っています。写真も豊富で、飽きずに読み通せると思います。
- ○『佛教入門』 岩本裕著 中公新書 680円
ブッダの教えとその思想を簡潔にまとめ、且つ当時の社会状況や倫理とも関連させて言及しているのは興味深いです。
- △『決定版 中村元選集』 中村元著 春秋社
第11巻 ゴータマ・ブッダT 6900円
第12巻 ゴータマ・ブッダU 5500円
ゴータマ・ブッダの生涯についての本格的な研究書です。読み込むのは大変ですが、より深く史実のブッダ像をつかむには必読です。
- ◎『ブッダ物語』 中村元・田辺和子著 岩波ジュニア新書171 700円
ゴータマ・ブッダの生涯を研究に基きつつ分かりやすく綴った本です。岩波ジュニア新書は中学生を対象とした叢書ですが、この本は大人の読書欲にも応える内容の厚みがあります。ブッダを知る入門書として好適な一冊です。
(2569.5.28)
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