『ブッダ』の名句



  【凡 例】
 1.引用した言葉は吹き出しや行間毎に一つのカギ括弧で括り発言順に並べました。
 2.同一発言者の台詞が続く場合、同一のコマの中にあれば改行せず続けて表記し、別のコマに変わるところは改行をしました。
 3.原典の台詞に句読点が無いため、読みやすさを考慮して適宜空きマスを入れました。
 4.斜体は吹き出しで囲わない独白や説明などの台詞です。
 5.巻数・頁は四六版ハードカバー本のものです。


● 第 5 巻 鹿野苑●

  ・第四部第4章 危難

ブッダ
 「どんな仕事をしていようと」「どういう身分であろうと」「悟ることができるのだ いつもつぎのことを考えなさい」
 「いま 自分は何をしているのか」「自分のしていることは自分にとって大事なことなのか」「人にとって大事なことなのか」「そして大勢の人にとって大事なことなのか!」
 「国じゅうの人にとって大事なことなのか」
 「世界の人にとって大事なことなのか」
 「この自然にとって あらゆる生きものにとって 大事なことなのかよく考えなさい」
 「そして もしそうでないと思ったらやめるがよい」「なぜならこの世のものはみんなひとつにつながっているからだよ」
ダイバダッタ
 「私はいままでだれの手も借りずひとりのちからで生きてきました つながりなんかありません!」
ブッダ
 「あなたは三度三度ごはんをたべるだろう」「そのごはんはだれかが料理するのだろう?その米はだれかがつくるのだろう?」
 「しかもその米は もと稲という草だ だからごはんをたべるだけでも」「いろんな生きもの いろんな人たちの 恩をうけていることになるでしょう」
 「だからあなたはほかの生きものや人なしでは生きられないのだ……」
 「同じようにどんな生きものでも」「絶対に自分だけでは生きられない!!」(214〜216頁)

  ・第6章 牡牛セブーの物語

ブッダ
 「おまえたち鹿よ………………」
 「おまえたちはたべものがなくて……」「飢えて死ぬことを おそれてはならない」

 「なぜなら 同じようにほかの生きものも 人間も飢えて死ぬからだ」

 「鹿だけが」「つらく苦しい一生をすごすのではない どの生きものも同じだ 生きものはみんな平等なのだ」(259頁)


 「おまえたち鹿よ おまえたちは自分が生きていくために」「自分のことの心配しかしていない だけどそれはまちがいなのだ 自分が生きていくためには」
 「他人が生きていく手伝いもしてやりなさい」
 「それがきっと自分の一生にむくいられてくるはずだ」(282頁)


 「鹿のなやみは猟師に追われることだ」「では人間のなやみは?」
 「それは病気のなやみ お金のなやみ 肉親のなやみ 仕事のなやみ」
 「いろいろあるけどそれはみんな」「鼻でかいだり」
 「味わったり」
 「ふれたり」
 「見たり聞いたりして起こるなやみだろう」
 「このわざわいからのがれるには 八つの正しい方法がある」「それは正しく見 正しく思い 正しく話し 正しい仕事をし 正しくくらし 正しくつとめ 正しく祈り 正しい生涯を送ることだ」
 「私たち生きものは なにもなやんだり」「苦しんだりして 一生をすごしてるんじゃない」
 「そんな一生は」「送っても意味がないと思わないかね?」
 「ところが修行者は」
 「無理に」
 「苦行をして……」
 「自分で自分を傷つけたり苦しめたりして………」「それで一生を終える人もある」
 「それは一生を遊びほうけて」
 「好き勝手なことをして」「ノタレ死にする人々と」
 「ちっともかわりはないのだ」「むだな人生という点で!」(284〜286頁)


● 第 6 巻 アナンダ●

  ・第五部第6章 カッサパの帰依

ウルヴェーラ・カッサパ
 「ど…………どういう法力で いや どういう術で雨をふらしたのですか?」
ブッダ
 「わたしは雨なぞふらしはしない 勝手にふったのでしょう」
ウルヴェーラ・カッサパ
 「いや たしかにあなたは法力を使ったんだ」「でなきゃア タイミングよく火事を消したりしないはずだ」
ブッダ
 「法力だとか術だとか……そんな無理なちからなんか使わなくっても 雨はふるときにはふり 火はいつかは消える……」「それが自然のなりゆきなんです いつかはそうなるのだから それでいいじゃありませんか?」「人間がこうしたい ああしたいと思うのは欲です 捨てておいても この自然界はひとりでに変わっていきます」
 「人間のちからでは それをとめることはできません」
アナンダ
 「へッ わかったようなことをいいなさんなよ 坊さん!!」
 「このアナンダはどうなんだい!!」「おれみたいな人間が生まれたのも 自然のなりゆきだっていうのかよ!!」
ブッダ
 「そのとおりだ」
 「おまえは悪魔の子でもなんでもない 自然に生まれ自然に育った ただの人間だよ」
アナンダ
 「うそだ」
 「わかっちゃいねえな おれはなーッ」「何人もころしたぞ このままなりゆきにまかせるとまた殺すぞっ」
ブッダ
 「アナンダよ」「この世の中はどんなものでも なにかおたがいに つながりを持っているものだ」「それは一生つづく 一生のあいだ おまえは世の中のあらゆるものとつながりを持ってゆく………」
 「同じつながりを持つのなら……」
 「自然にまかせたらどうだね?」
 「おまえが人を殺したくなったとき………」
 「その人間はおまえが手をくださずとも」「いつか自然に死んでいくのだと考えなさい」「大事なことはおまえ自身がしっかり生きていくことだ わかるかね?」
アナンダ
 「お……おれは…………………」「しっかり生きてけば まともな人間になれますか?」 (234〜237頁)

  ・第7章 ワニの河

ブッダ
 「アヒンサー おまえとは話し合いをするはずだったな…」
アヒンサー
 「お……おれに……ふざけるな…………おれになんの話をしようてんだ」
ブッダ
 「そうじゃない おまえが 自分のいいたいことを洗いざらいいうんだ 心の中のものをすっかり」「私にぶちまけるがいい」
アヒンサー
 「それでどうなる?フン 身の上相談じゃあるまいし……」「時間のむだだ しゃべる気もねえよ」
ブッダ
 「しゃべり終わればおまえは死ぬ」
アヒンサー
 「えーッ 死ぬって?」
 「フフフフ へへへ ウハハハ」「ハハハハ ウヒヒヒヒ どうやって死ぬんだい」「交通事故でかい?自殺でもすっか?」
ブッダ
 「おまえの人生は終わるのだ」「アングリマーラとしての……」
アヒンサー
 「それでどうなる?」
ブッダ
 「殺人鬼としてのおまえ 指切り魔としてのおまえ 自分の罪に毎日もだえ苦しむおまえは それで この世からいなくなるのだ」「そして生まれ変わったおまえは別人だ 新しい生きる道をさがすことになる」
アヒンサー
 「フン!!よういうわ」「おれが…そんなことをすると思っているのか?お…おれは罪にもだえ苦しんでなんか……いねえ」
ブッダ
 「いや おまえは苦しんでる」「勇気を出せ アヒンサー」「一度死ね!!」
 「そして」「その苦しみからぬけだせ」
アヒンサー
 「おれは苦しんでなんかいねえ!!」
ブッダ
 「アヒンサー 勇気を出して生まれかわれッ」
アヒンサー
 「ウオオオーッ」
 「ウアーアーア」
(288〜290頁)


  ・第8章 象頭山の教え

ブッダ
 「この中で おいしいものがたべたいとか ゆっくりねたいとか 女の子と遊びたいとか 長生きしたいとか 思っている人はありますか?」「あったら手をあげて」
ナディー=カッサパおよびガヤー=カッサパの弟子たち
 「ハーイ」
ブッダ
 「人間の心は ほしいもののためにいつも燃えている!」「そうするとそのために泣いたりおこったりなやんだりする」「それは消すことができる!目をつむるように心を閉じるのだ……そうすれば…………………」
弟子たちの一人A
 「心を閉じるって どうやって?」
ブッダ
 「なんにも考えず 自分というものさえ忘れるのです」
 「いっさいを忘れるのです!」
 「そうすれば 迷いやなやみもなくなって かえって苦しみがとれ おまけに この自然にとけこむことができるのです!」

 (※欲が身を滅ぼすたとえとして、カモの群れの話や、水売りの親子の話が説かれる)

弟子たちの一人B
 「質問があります 私は病気がちです 死ぬのがこわくって」「カッサパさまのお弟子になりました でもまだこわいのです どうしたらいいでしょう」
ブッダ
 「病気が苦しいのか?死ぬのが苦しいのか?」
弟子たちの一人B
 「両方とも苦しいんです」「わたしゃなおりたいんです……」「健康になりたいんです」
ブッダ
 「あなた自身火だと思い そして火が消えるように 自分のいっさいの欲望や迷いを消すがよい…そうすれば心も身も健康になる」(318〜344頁)


(2569.04.28)


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