一般の方にとって仏教とは具体的にはどんな印象を持たれるでしょうか?寺院・修学旅行・奈良・京都・葬式・お墓参り、等々、日常生活や社会の諸行事における仏教の具体像はそんな単語から連想されますが、ではそのおしえや目指すところとなるとほとんどの方が知る機会を持つことがないと思います。これはわたしたち仏教者の責任でもありますが、特定の道義的・倫理的な精神基盤を持たない日本社会の独自性により、表象としては家庭や地域そして社会に溶け込んでいるものの、その精神面はほとんど顧みられていないのが実情です。
そのような中で、仏教の開祖である歴史上の人物ゴータマ・ブッダの生涯とその思想を、一般向けに最も親しみやすい漫画という媒体を最大限に生かし、娯楽性と思想性を兼ね備えた希有な物語として完成させた作品が故手塚治虫の作品『ブッダ』です。
わたしと『ブッダ』との出会いは「管理人の部屋」の「才藝不幸」に書いたのでここでは繰り返しませんが、年長じた現在でも依然として『ブッダ』は光っています。漫画として面白いだけでなく、そこに歴史や文化を超えた人としての生き方や悩み・苦しみといった普遍的な問題を昇華させているからでしょう。たまに書架から『ブッダ』を手に取ると時間を忘れて読み耽ってしまいます。
『ブッダ』は2537年(西1972/09)から2548年(西1983/12)にかけて「希望の友」〜「少年ワールド」〜「コミックトム」(潮出版社)に連載され、単行本は出版社や装丁を変えて何度か発売されていて、現在も同社から今年1月より簡易装丁にして求め易い価格の「KIBO COMICS CASUAL」として全国のコンビニエンスストアなどで発売されています。ほかにもいくつかの版がありますが、わたしが持っているのは四六版ハードカバー本(全八巻)です。
ここではこの名作『ブッダ』について知らなかった人・まだ読んでいない人からすでに読んだことのある人・わたし以上に思い入れのある人まで楽しめ参考になるような情報をまとめてみようと思っています(随時更新予定)。
※記事作成にあたり、以下のウェブサイトの『ブッダ』関連記事を参考にさせていただきました。感謝致します。
○TezukaOsamu@World
○潮出版社